2005/02/20 (日)

ビゲロー氏と宇宙ホテル開発関係者、計画について語る

軌道宇宙飛行へ約50億円をかけた宇宙レース アメリカン・スペースプライズ
を立ち上げたビゲローエアロスペース社のロバート・ビゲロー社長が約500億円
かけて開発を行っている世界初の民間宇宙ホテル開発プロジェクトについて語った。

“It’s a gamble. It’s a huge gamble.”
「これは冒険だ! これは壮大な冒険なのだ!」

“But you know, the faint of heart never won a fair maiden, never won wars.
I think what we're doing has some national value, win or lose.
Where's the inspiration in America?
If you asked 50 people or 500 people, that is America's inspiration today?’
what would they say?
To win the war in Iraq? That doesn't create a dream in some kid's mind.
An inspiration has to be something you carry with you 24/7.”

ビゲロー氏は米ラスベガスにかまえるホテルチェーン・バジェット・スイート・オブ・アメリカのオーナーで、年齢は60歳。15歳の時に人生を人間が宇宙で永久に暮らせる世界を確立することにつぎこむと誓った。宇宙ホテルを開発する彼の会社、ビゲローエアロスペース社は、ノース・ラスベガスにある。

ビゲロー氏の宇宙ホテル、ノーチラス宇宙ステーションは全長45フィート、直径22フィートの2つのモジュールからなり、 地球低軌道を飛行するだけでなく、MDPBというロケットエンジンを装着し、月への旅行にも使用される。実物大のモックアップがビゲローエアロスペース社内に設置されている。

NASAでトランスハブという軌道上で膨らませて使用するモジュールが宇宙ステーション用に開発がされていたが、2000年に政治的な理由のために説明なしでキャンセルされた。ビゲロー氏はNASAからそれを開発する権利を買い取り、トランスハブを開発していたエンジニア達を雇い入れた。そしてトランスハブの設計者、元NASAのエンジニアであるウィリアム・シュナイダー氏を、自らの宇宙ホテルの設計者として招いた。シュナイダー氏は当時についてこう語る。

“When I walked in here, boom!
It was mind-boggling, because this is the vision that I really wanted.
Here's these things, all sitting there, and of course some of them are mock-ups, but the rest were inflatable, and I said, he's serious.
He’s not playing around.
It's kind of like you want to see your child grow up to maturity, - not be stopped in its adolescence.”

ビゲローエアロスペース社では、その巨大なモックアップの隣でテストモジュールの開発が進んでいる。このプロジェクトを取り仕切るプロジェクトマネージャーはブライアン・アイケン氏だ。第3スケールのテストモジュールが今年11月にスペースX社のファルコンロケットで打ち上げられる予定になっている。

技術上の未解決問題も多く残る。エンジニアの一人エドウィン・ラーディザバル氏は2015年までに全ての問題を解決し、ホテルの営業をはじめることができる可能性は60%だと言う。

“This will be the first time.
That’s the problem. You can’t foresee everything.
Just like when we rolled out the 747 the first time.”

しかし、設計者のシュナイダー氏は2010年までにノーチラス宇宙ホテルは軌道上を飛行しているだろうと強気だ。シュナイダー氏は、ビゲロー氏をかつてラスべガスの不動産で成功し、航空宇宙の世界に乗りだした大物ハワード・ヒューズ氏と比較する。

“Bob is like Howard Hughes reincarnated.
He's not just a financial person; he's in the middle of everything that we do.”

バイオスフェア2で2年間過ごしたこともあり、NASAの契約企業Paragon Space Development社を率いるテイバー・マッカラム社長はこう言う。

“They're taking a very down-to-earth approach to what they're doing in terms of building and testing.
They're very much along the same philosophical lines as Burt Rutan and his SpaceShipOne, and we all know how successful that's been.
Bigelow's approach is aggressive.
He's very safety- conscious, much like Rutan.”

ビゲロー氏が引き抜いてきた一人、ジョージ・ワシントン大学で宇宙政策学会を指揮するジョン・ログスドン氏は成功する要素として、NASAとビゲロー社との緊密な関係を上げる。

“I have little doubt that the basic technology is likely to work.
The issue is whether there's a transportation system that can get people or things, or both, up there.”

宇宙ステーションへの宇宙旅行は既に2人の民間人が約20億円をかけて行っている。それに比べると、1日で約1億円という、ビゲロー氏の宇宙旅行価格はバーゲン価格だ。これらの宇宙旅行を提供したスペース・アドベンチャーズ社のエリック・アンダーソン氏はビゲロー氏のホテルには、年に30人の顧客を見込むことができると言う。しかしビゲロー氏は、それには留まらず、製薬会社や無重力環境を利用するメーカー、研究者やハリウッドの映画製作者、テレビ番組やコマーシャルの製作者など、更なる新しいマーケットを広げることを希望している。

ビゲロー氏の専任弁護士フランクリン・ギブズ氏は、ビゲロー氏の強力なモチベーションの理由をこのように説明する。

“He feels like the United States should be taking the lead in this and that we really need to get more private industry involved if we're going to jump forward with any real spectacular moves.”


宇宙ホテルの技術より、スペースX社などのような、再使用型ロケット機による低価格宇宙輸送を目指す企業の成否が、この宇宙ホテル計画の明暗を分けそうだ。


関連リンク
Popular Science
Bigelow Aerospace
Space X